まず気になるのは「Joyboy」と太鼓
※以下、ワノ国編とギア5の内容に触れます。
『想像と幻想の不思議な世界:エンサイクロペディアファンタジア』には、「Joyboy」という項目があります。紹介されるのは、太鼓の抗えないリズムを鳴らし、人々を踊らせ、笑いで苦悩を払う存在。名前が同じだけでなく、太鼓と笑いまで揃っているのが気になります。
『ONE PIECE』では、ルフィの鼓動がドラムのようなリズムに変わったとき、ズニーシャがジョイボーイの帰還を感じ取ります。続くギア5では、ルフィが笑いながら自由に戦い、人々を笑顔にする「解放の戦士」として描かれます。
名前、太鼓、笑い、苦悩からの解放。この四つが重なると、尾田さんがこの本を参考にした可能性を考えたくなります。
ただし「似ている」と「参考にしたと確認された」は別です。尾田栄一郎さんが本書を着想源として挙げた一次資料は、今回の調査では確認できませんでした。
「学生時代に読んだ」という噂は本当?
尾田さんが学生時代にこの本を読んでいた、という話も聞きます。日本版は1989年刊行で、1975年生まれの尾田さんが14歳になる年。『ONE PIECE』の連載開始は1997年なので、時系列上は本書に触れられた可能性があります。
しかし、刊行時期が合うだけでは読んだ証拠になりません。今回確認できた資料の範囲では、本人が「学生時代に読んだ」と述べた発言や、その出典は見つかっていません。この話は証言ではなく、噂として扱うのが正確です。
何が似ていて、何が違う?
名前と太鼓
本のJoyboyは実際に太鼓を鳴らす存在です。『ONE PIECE』の「解放のドラム」はルフィの心音。楽器と鼓動で表現は違いますが、同じ名前の人物に、周囲を動かす太鼓のリズムが結びつく点は具体的な一致です。
笑いと苦悩からの解放
本ではJoyboyの音楽が人々を踊りと歌へ誘い、悲しみを振り払わせます。『ONE PIECE』ではニカの力が「人々を笑顔にした解放の戦士」と説明され、ギア5のルフィ自身も笑いながら戦います。機能まで同じではないものの、笑いが苦境をひっくり返す核は近いと思います。
ほかの神話モチーフは補助線にする
巨人、太陽、怪物なども本と作品の双方に見つかります。ただし、これらはほかの神話や創作物にも広く出る題材です。本書を参照した証拠として強く見るなら、まず同名のJoyboyと太鼓の組み合わせ。ほかは考察を広げる補助線として読むのがよさそうです。
この本そのものはどんな資料?
日本版は1989年刊行。著者はマイケル・ページ、イラストはロバート・イングペンで、247ページ、縦34cmの大判です。世界各地の神話、民間伝承、精霊、怪物、魔法を集めた図鑑で、机に広げて絵と解説を行き来する読み方が似合います。
- ISBNは978-4-315-51008-9
- 全247ページ、34cmの大型本
- 刊行時の税込定価は6,980円
- 現在は絶版で、中古品が中心
- Joyboy項目を目当てに探すなら、版とページの状態を確認する
この本の面白さは、Joyboyだけで終わらないことです。ひとつの連想から隣の項目へ進み、作品で見たモチーフを別の文化の絵や言葉と比べられます。尾田さんが読んだ証拠を買う本ではなく、「もし参照していたら?」という仮説を自分の目で検討できる資料として魅力があります。
買ったらこう使うと考察が深くなる
- 気になる人物、地名、出来事を一つ決める
- 似た役割を持つ神話・精霊・怪物を三つ探す
- 共通点だけでなく、異なる点もメモする
- 原作の該当話へ戻り、台詞や絵を読み直す
- 「元ネタ」と断定せず、可能性の一つとして残す
Joyboyなら、まず本の太鼓、笑い、踊りと、原作の鼓動、ギア5、解放の場面を並べます。「楽器」と「鼓動」のような相違点まで書くと、かえって仮説の強さが見えてきます。似ている単語を集めるだけで終わらず、どの組み合わせが偶然では説明しにくいのかを考えるための使い方です。
高くても紙で持つ意味はある?
あります。ただし、電子書籍の代わりとしてではなく、大判の絵を眺めながら何度も戻る資料としてです。34cmの本なので、持ち歩く本ではありません。机や本棚に置き、原作を読んで気になったときに開く使い方が向いています。
刊行年が古いため、現代の神話研究を網羅する専門書でもありません。ここで見つけた情報を唯一の正解にせず、別の資料へ進む入口にする。その距離感で読むと長く使えます。
中古で買う前に見るところ
- カバーが付いているか
- 書き込み、ページ抜け、強いにおいがないか
- 34cmの大型本に対応した送料か
- 商品写真が実物か、参考画像だけではないか
- ISBNが978-4-315-51008-9か
この本は出品数が少なく、同じ日に見ても価格差が大きい商品です。安さだけで決めるより、状態写真と送料を含む総額で比べたい。相場が高すぎると感じたら、図書館で内容を確認してから探す方法もあります。
向いている人、向いていない人
Joyboyと「解放のドラム」の一致を自分の目で確かめたい人、神話や幻想世界の絵が好きな人、資料と原作を行き来して考察したい人に向いています。尾田さん本人の答え合わせや、すぐ読める考察の結論を求める人には向きません。
「尾田さんが参考にしたのかもしれない」と思いながらページを開き、似ている箇所と違う箇所を拾う。その時間まで楽しめるなら、絶版本でも探す理由があります。


