転がる石のように
What?Like a Rolling Stoneという言葉を聞くと、僕は流れる風景を思い浮かべる。ひとつの場所や考えにとどまらず、まだ知らない世界に触れていく感じだ。
ことわざ、バンド、曲、雑誌
Where from?背景にあるのは「転がる石に苔は生えない」ということわざ。英語では少なくとも1546年、John Heywoodの韻文に記録されている。ただし、それ以前にも同趣旨の表現があり、英国の詩から生まれた言葉とはいえない。
定住できないという欠点にも、責任に縛られないという利点にも読める。苔を「蓄積」と捉えるか、「停滞」と捉えるかで響きが変わる、と考えると分かりやすい。
音楽では、Muddy Watersの曲がバンド名につながった。Bill Wymanの公式年表によると、Brian Jonesがその曲に着想を得て、1962年にThe Rolling Stonesと名付けた。
Dylanの「Like a Rolling Stone」は1965年。続く1967年には雑誌Rolling Stoneが創刊され、創刊者は名前の背景として、ことわざ、Muddy Waters、バンド、Dylanを挙げている。
皮肉のような、応援のような
Why it mattersDylanの曲を聴くと、僕には、自由になっただろう、苔の生えない転がる石になれただろう、と投げかけられているように感じる。皮肉のようでもあり、応援のようでもある。
歌詞には苔は登場しない。これは、ことわざを重ねた僕なりの聴き方だ。
転がる石というイメージは、多くの人を惹きつけてきたように思える。落ち着く場所を持たない心細さと、まだどこへでも行ける自由。その両方を想像できるところに、僕も惹かれる。
音楽を聴きながら、流れる風景を眺める。知らない街や、雲の動きに目を向ける。同じ場所でも、天気や気分で違って見える。自分の見方も変わっていい。
気になる景色があれば、立ち止まって眺めたい。風景と音楽に身をまかせながら、自分が何に心を動かされるのかを知っていく。
Rolling Rolling。
そして僕らは今日も転がって、世界を観察して、死ぬまで楽しく生きていく。

