夜空に見える星は、宇宙のほんの一部です。 太陽は天の川銀河にある少なくとも1,000億個の星の一つにすぎません。その天の川銀河も、観測可能な宇宙にある数え切れないほどの銀河の一つです。
宇宙は約138億年前から膨張を続けています。けれど、星や惑星、人間をつくる普通の物質は、宇宙全体の約5%です。残りの大部分が何なのかは、まだ完全には分かっていません。
宇宙を知る面白さは、答えが多いことではありません。人類が遠くまで見えるようになった今も、宇宙には大きな空白が残っていることにあります。
約138億年
宇宙の年齢は、最も古い星と宇宙膨張の測定から推定されている。
8分20秒
太陽を出た光が地球に届くまでの時間。私たちは太陽の少し前の姿を見ている。
4.9%
星や人間をつくる普通の物質が、宇宙の質量・エネルギー全体に占める割合。
まず、自分たちはどこにいる?
地球は、太陽の周りを回る一つの惑星です。太陽は天の川銀河にある一つの星です。そして天の川銀河は、近くの銀河と集まって局所銀河群をつくっています。
地球
太陽の周りを回る岩石の惑星。
太陽系
太陽と、その周りを回る惑星・小天体の集まり。
天の川銀河
太陽を含む、直径がおよそ10万光年の銀河。
局所銀河群
天の川銀河、アンドロメダ銀河などを含む銀河の近所。
観測可能な宇宙
光が私たちへ届く範囲として観測できる宇宙。宇宙全体の大きさそのものとは限らない。
この順に並べると、地球は小さく見えます。けれど、地球が小さいから意味がないわけではありません。宇宙の大きさを測り、遠い銀河の光を読み、宇宙の歴史をたどれる場所が、ここにあります。
夜空の星は、過去を見せている
宇宙を見ることは、過去を見ることです。光には速度があり、遠い場所ほど、光が届くまでに長い時間がかかります。
光は1秒で約30万キロメートル進みます。地球を約7周半できる速さです。それでも太陽から地球までは約8分20秒かかります。太陽を見上げるとき、私たちは8分前の太陽を見ています。
太陽の次に近い恒星プロキシマ・ケンタウリでも、光で4年以上かかります。天の川銀河を端から端まで光が横切るなら、およそ10万年です。
遠くを見るほど、宇宙の昔を見る。 だから望遠鏡は、遠くを大きく見る道具であると同時に、時間をさかのぼる道具でもあります。
宇宙には、みんなで共有する「今」がない
日常では、同じ時刻を生きていると感じます。宇宙では、その感覚は少しだけ複雑です。
光が届くまでの時間があるため、遠い星の「今」を地球から直接見ることはできません。さらに、相対性理論では、運動や重力の違いによって時間と同時の測られ方も変わります。
ここでは答えを急ぎません。時間がなぜ一つの時計ではないのかは、相対性理論の記事でたどれます。宇宙を知ると、時計の針さえ当たり前ではなくなります。
星は生まれ、死ぬ。そして私たちの材料を残す
星も永遠には光りません。ガスが集まって生まれ、中心部の核融合で輝き、質量によって異なる最期を迎えます。
宇宙の始まりで主につくられたのは、水素、ヘリウム、わずかなリチウムでした。炭素や酸素、鉄のような重い元素は、後の世代の星の内部や、その死の過程でつくられ、宇宙へ戻されました。
だから「人間は星のかけら」という言い方は、ただの詩ではありません。身体をつくる炭素や酸素が、太古の星の活動を経てきたという意味では、科学的な話です。
ブラックホールは、宇宙の掃除機ではない
ブラックホールは、何でも遠くから吸い込む掃除機ではありません。極端に密度が高く、ある境界の内側からは光さえ逃げられない天体です。
遠くにある物体への重力は、同じ質量を持つ別の天体と同じように働きます。だから、近づきすぎなければ何でも引きずり込むわけではありません。
何が事象の地平面の内側で起きるのか。巨大なブラックホールはどう生まれたのか。宇宙には、ここにもまだ答えの途中にある問いがあります。
宇宙は、今も大きくなり続けている
ビッグバンは、すでにある空間の中で起きた爆発ではありません。宇宙は熱く密度の高い状態から膨張し、空間そのものが広がってきたと考えられています。
遠い銀河ほど、光は赤い側へ伸びて見えます。この宇宙論的赤方偏移は、空間の膨張を知る手がかりです。観測からは、その膨張が今は加速していることも分かっています。
何が加速を生んでいるのか。候補として暗黒エネルギーと呼ばれるものが使われます。しかし、その正体はまだ分かっていません。
私たちが知っている宇宙は、少数派かもしれない
宇宙には、星、惑星、ガス、人間があります。けれど、それらをつくる普通の物質は全体の少数派です。
普通の物質 4.9%
原子でできた星、惑星、ガス、人間。私たちが直接よく知る世界。
暗黒物質 26.8%
重力の影響から存在が推定されるが、正体は分かっていない。
暗黒エネルギー 68.3%
宇宙膨張の加速と結び付けて考えられるが、正体は分かっていない。
見えている宇宙だけが、宇宙の全部ではない。 暗黒物質と暗黒エネルギーは、名前に「暗黒」とついていても、怖い物質という意味ではありません。直接には正体をつかめていないための名前です。
地球以外にも、世界はある
太陽系の外にも、ほかの星の周りを回る惑星が見つかっています。これを系外惑星と呼びます。
科学者は、惑星の大気を通った光から、水蒸気や炭素を含む分子などを調べます。液体の水が保てそうな距離にある惑星も、重点的に探しています。
ただし、生命が見つかったわけではありません。液体の水や有機分子は、生命そのものではないからです。それでも、生命が存在し得る環境を探せるところまで観測は進みました。
宇宙に生命がいるのかは、まだ分からない。だから探す意味がある。
WHAT WE STILL DON'T KNOW
- 暗黒物質は何でできているのか。
- 暗黒エネルギーは何なのか。
- ブラックホールの内側を、現在の物理だけでどこまで説明できるのか。
- 宇宙全体は有限なのか、無限なのか。
- 宇宙の始まりより前を、物理学で語れるのか。
- 生命は地球だけの現象なのか。
分からないことは、科学の弱さではありません。分からない場所を分からないまま残し、観測と実験で少しずつ境界を動かしていく。その姿勢が、宇宙を知る面白さです。
HereNatureの結論
私たちは宇宙の中にいます。宇宙を見上げることは、遠い世界を見るだけではありません。
自分たちがどこから来て、何でできていて、どこまで知れるのかを考えることでもあります。
宇宙には答えがある。まだ答えがない場所もある。その両方が、次の問いへの入口になります。


